世界各国の珍しい発酵食品一覧

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発酵食品は、長い歴史と独自の風味を持つ食文化の一部です。世界各地でさまざまな方法で作られ、それぞれが地域の生活や食事に深く根ざしています。

世界各国に存在する珍しい発酵食品について、それぞれの定義や特徴、歴史的背景、注意点などを詳しく説明します。

1. シュールストレミング(スウェーデン)

シュールストレミング(スウェーデン)
  • 定義: シュールストレミングは、スウェーデンの伝統的な発酵食品で、塩漬けされたニシン(バルト海産)を発酵させたものです。缶詰にされ、開封時に強烈な臭いが特徴です。
  • 関連する用語や概念: 発酵は塩とニシンを使用して行われ、乳酸発酵が主体です。ニシンはスウェーデンの食文化において重要な魚種で、保存食として利用されています。
  • 使用シーンの例: シュールストレミングは、クラッカーやパンと一緒に食べられることが多く、タマネギやポテトと組み合わせて食べられます。スウェーデンでは伝統的な夏の食事の一部として提供されることがあります。
  • 歴史的背景: シュールストレミングの起源は16世紀にさかのぼり、保存技術が限られていた時代に、魚を長期保存するための方法として発酵が利用されました。現在では、伝統的な食品として根強い人気を持っています。
  • 注意点: シュールストレミングは発酵が進むと缶が膨張し、非常に強い臭いを発します。開封時には屋外で行うことが推奨されています。また、発酵が進みすぎると缶が破裂する可能性もあります。

2. 臭豆腐(中国・台湾)

臭豆腐(中国・台湾)
  • 定義: 臭豆腐は、発酵させた豆腐で、強烈な臭いが特徴の中国や台湾のストリートフードです。豆腐を発酵液に漬け込み、特有の臭いを発生させます。
  • 関連する用語や概念: 臭豆腐は、発酵させた野菜や豆類から作られた発酵液を使用し、豆腐に臭いをつけるプロセスが行われます。発酵食品でありながら、特定の微生物による独特な風味が生まれます。
  • 使用シーンの例: 臭豆腐は屋台やストリートフードの定番で、揚げる、蒸す、または焼いて提供されます。辛いソースや漬け物と一緒に食べることが一般的です。
  • 歴史的背景: 臭豆腐の起源は明確ではないものの、数百年にわたる歴史があり、中国全土で地域ごとに異なるレシピが存在します。元々は保存食として発展しました。
  • 注意点: 臭いが非常に強烈で、好みが分かれる食品です。初めて食べる際には、その強い臭いに抵抗を感じる人も多いですが、味自体はクリーミーで豊かな旨味を持っています。

3. キビヤック(カナダ)

  • 定義: キビヤックは、イヌイットの伝統的な発酵食品で、海鳥をアザラシの皮の中に詰め、発酵させたものです。アザラシの脂肪分が発酵を促し、保存食として利用されます。
  • 関連する用語や概念: キビヤックは、厳しい北極圏の環境に適応した保存食で、アザラシの皮が天然の発酵容器として機能します。自然発酵によって長期間保存可能となります。
  • 使用シーンの例: キビヤックは特別な機会や冬の食料として食べられ、発酵が進んだ鳥の肉や内臓を生のまま、または軽く調理して食べます。
  • 歴史的背景: 北極圏のイヌイットにとって、長い冬を乗り切るための保存食としてキビヤックは重要でした。食料の確保が難しい厳しい環境において、効率的に栄養を摂取する手段として発展しました。
  • 注意点: キビヤックは非常に特異な風味を持っており、食文化に慣れていない人にとっては挑戦的な食べ物です。また、正しい方法で発酵させないと、食中毒のリスクがあるため注意が必要です。

日本人の探検家 植村直己は、北極点単独行など数々の冒険を成し遂げたことで知られていますが、彼はグリーンランドでキビヤックを食べた経験があり、その味を楽しんでいたと言われています。

4. インジェラ(エチオピア)

  • 定義: インジェラは、エチオピアの伝統的な発酵パンで、テフという穀物から作られます。生地を発酵させてから薄く焼き上げ、酸味のあるスポンジ状のパンが出来上がります。
  • 関連する用語や概念: 発酵過程は乳酸菌を利用して行われ、パン自体が酸味を帯びています。テフはエチオピアで主食とされる栄養豊富な穀物で、インジェラの基盤となっています。
  • 使用シーンの例: インジェラは、エチオピア料理の中心的存在であり、煮込み料理(ワット)をすくって食べる器のような役割を果たします。手でちぎって食べるスタイルが一般的です。
  • 歴史的背景: インジェラは古代からエチオピアで食べられており、地域の農業と密接に結びついています。発酵食品であり、保存性が高いことからも、乾燥した気候に適した食品として発展しました。
  • 注意点: インジェラは強い酸味を持つため、初めて食べる人にとっては少し驚く味かもしれません。また、テフは栄養価が高い一方で、グルテンフリー食品として知られており、アレルギーの心配が少ないのも特徴です。

5. ベジマイト(オーストラリア)

  • 定義: ベジマイトは、ビールの醸造過程でできる酵母抽出物を発酵させて作られるオーストラリアのスプレッドです。濃厚な旨味と塩味が特徴です。
  • 関連する用語や概念: ベジマイトは「うま味」の強い食品で、ビタミンB群が豊富です。酵母抽出物から作られるため、発酵過程は酵母の作用によります。
  • 使用シーンの例: トーストやクラッカーに塗って食べるのが一般的で、少量をバターと一緒に塗るのが最も一般的な食べ方です。スープやグレイビーに風味を加えるためにも使用されます。
  • 歴史的背景: 1920年代にオーストラリアで開発され、ビタミンB群が豊富なため、栄養補助食品としても注目されました。戦時中には軍隊の食糧として広く利用されました。
  • 注意点: ベジマイトは非常に濃い味わいを持っており、初めて食べる人には少量から試すのが推奨されます。

これらの発酵食品は、それぞれ独自の風味と文化的背景を持ち、保存食として重要な役割を果たしてきました。シュールストレミングや臭豆腐など、強烈な臭いが特徴のものもあれば、インジェラやベジマイトのように日常的に使われる食品もあります。共通するのは、発酵がもたらす独特の味わいや栄養価の向上です。これらの食品は、地域ごとの食文化の深さと多様性を感じさせる魅力的な存在です。

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この記事を書いた人

Miyakoのアバター Miyako 発酵フードライター

20年以上の発酵食品作りの経験を持つ。特に、自家製の味噌や納豆、ぬか漬け、キムチ作りが得意。世界中の発酵文化にも興味があり、韓国や東南アジア、ヨーロッパの発酵食品にも挑戦。

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